私の家の横に、モヤパパの家も建ててあげたい
親孝行じゃの〜モヤ子。
ただし、確認申請上は敷地を分けないといけんぞ!!
そのことを”可分”というぞ
可分?
そう!可分!
今回は、建築する敷地の可分・不可分について説明するぞ
可分・不可分
今回は、建築基準法における敷地(建築する用地)設定の方法について解説をします。
建築基準法の敷地は原則、一敷地一建物です。
「うちの敷地には、家の他に倉庫やガレージがある」
「学校の敷地には、何棟も建物があるじゃないか」
こう思われた方もいらっしゃると思います。
鋭い!!
その点が、”原則”という言い方になってしまう理由です。
冒頭で”可分” ”不可分”というワードが出てきましたが、
”可分”とは、敷地を分けないといけないこと。
”不可分”とは、敷地を分けなくていいこと。を言います。
例えば、1つの敷地に住宅を2棟は建てることはできません。すなわち”可分しないといけません”。
しかし、1つの敷地に”住宅”と”住宅に附属する倉庫”は建てることができます。すなわち”不可分でよい”ことになります。
このようなルールが、建築基準法にはあります。
1つの敷地に建物を2棟以上計画する場合は、その敷地が可分なのか不可分なのか、まず確認をする必要があります。
可分・不可分の具体例
可分・不可分の例を挙げてみます。
可分できる具体例 | 不可分となる具体例 |
住宅と住宅 | 住宅と附属倉庫、附属車庫、離れなど |
貸家と貸家 | 貸家と附属車庫等 |
共同住宅と共同住宅 | 事業所とその管理人住宅 |
長屋と長屋 | 診療所とその院長住宅 |
事務所とその従業員の住宅 | 下宿とその管理人住宅 |
病院とその院長住宅 | 寄宿舎とその管理人住宅 |
共同住宅とその管理人住宅 | 店舗とその倉庫 |
その他にも、可分・不可分の例はたくさんあります。
特定行政庁や建築主事によっても、可分・不可分の判断は異なる場合がありますので、あくまで参考としてください。
主な考え方としては、
2つ以上の建築物相互が一体 または 主従の関係にあるかどうかによって判定されるものになります。
”住宅”と”住宅”だと、同じ機能で主従関係もなく、各々独立して成り立つので、可分。
”住宅”と”附属倉庫”だと、住宅とその住宅の収納を補う倉庫としての主従関係が成り立つため、不可分。
学校敷地の校舎群(”普通教室棟”と”特別教室棟”)は、各々切り離せない関係があるため、可分。
学校敷地内の”校舎”と”店舗”は、各独立した機能があり、主従関係もないため、不可分。
このように、棟と棟との関係性があるか機能的結びつきがあるかで、総合的に判断されます。
学校の例だと、”店舗”ではなく、”生協””学生食堂”など機能的結びつきがある用途とすることで、不可分の関係にすることも可能と考えます。
主従関係、機能的結びつきが大切じゃ
可分・不可分の注意点
それでは、なぜ可分・不可分を考慮しないといけないのでしょうか。
下記の問題が考えられます。
①接道
②境界線
③敷地面積
一番大きな問題となるのは、①接道です。
可分(敷地をそれぞれに分ける)の場合は、分けたそれぞれの敷地に対して、接道が必要となります。
接道は、1つの敷地に対して最低2m必要となりますので、可分になることによって、接道の長さがそれぞれ2mずつ(4m)以上必要になります。
元々接道長さが十分に確保できない旗竿上の敷地や狭小敷地においては、接道長さが十分に確保できておらず、接道の観点から、建築の条件が厳しくなることが推測されます。
次に、②境界線です。
敷地を分けると、そこには境界線が発生します。
境界線が発生すると、”隣地斜線の検討”や”延焼の恐れのある部分の検討”が必要になります。
建物の高さや建物の防火・耐火性能に関わる制限が付加されることによって、
計画次第では、建物高さの見直しや防火・耐火性能向上に伴うコストアップも推測されます。
最後に、③敷地面積です。
可分(敷地をそれぞれに分ける)ということは、元々の敷地面積が減少することになります。
すなわち、建ぺい率や容積率といった敷地面積に対するそれぞれの面積の割合が上昇することになります。
この割合が上昇によって、建ぺい率や容積率の数値を超えてしまい不適合となり、
新しい建物の計画ができなくなるということも考えられます。
以上のことから、
敷地計画が可分か不可分なのかは、建物の計画段階でしっかり検討しておく必要があります。
判断に迷う場合は、必ず申請先の自治体や確認審査機関に事前相談をしておきましょう。
まとめ 可分・不可分
今回は、敷地の可分・不可分について解説させていただきました。
・原則、一敷地一建物
・一敷地に2棟以上計画する場合、可分か不可分か確認が必要
・可分となる敷地の場合、接道・境界線・敷地面積に注意しよう
・判断に迷う場合は、あらかじめ確認申請提出先へ相談しよう
以上、”可分・不可分”についてお届けしました。
設計時には十分注意して、建築基準法に適合する敷地・建物計画を行ってくださいね!
最後までご覧いただきありがとうございました。
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